交通事故に強い広島の弁護士の徒然日記

東京電力の元会長らの刑事裁判 「争点」と「重要事実」は何か?

昨日、東京電力株式会社(現東京電力ホールディングス)の

元会長らの刑事裁判が始まりました。

 

「全員無罪主張」と報じられています。

 

「想定外では済まされない」県民の声

原発事故初公判(福島民報社

 

原発事故初公判 東電元会長ら3人、無罪主張

「予見は不可能」東京地裁(産経新聞

 

既に、報じられている様に、この刑事裁判でも大きな争点の一つは、

 

「福島第一原発の敷地高を超える大津波が来ることを元役員らが予見できたのか否か」

 

ということで、現在全国各地で行われている集団訴訟(民事)と共通しています。

 

現時点で政府・政府の両事故調査委員会の調査結果で分かっていることは、

 

平成20年6月頃には

 

東京電力内部で、文部科学省が設置した

 

地震調査推進本部が平成14年に発表した「長期評価」

という地震予測

 

に基づいて、

 

福島第一原発の敷地に最大15.7mの大津波が襲来

 

することを計算し、当時の幹部に伝えられていた。

 

ということです。

 

東京電力は上記「長期評価は当時、考慮に値しない、信用性のない地震予測である」

 

と全国各地の民事裁判で主張しています。

 

しかし、検察審査会を構成する市民の方が、

 

平成20年3月20日に実施された東京電力の「地震対応打合せ」にて、耐震バックチェック

の中間報告書の提出に伴うプレスリリースに関して策定された

 

「想定問答集」

 

の中に

 

耐震バックチェックの最終報告書で

「長期評価」を考慮する

 

と記載され内部的にこれが了承されたことを見つけています。

 

※政府・国の両事故調査委員会や検察庁が気づかなかったこの想定問答集の記載を

 一般市民が見つけたということは、本当に凄いことだと思います。

 

つまり、東電は大津波の計算の根拠となる「長期評価」を信用に足る地震予測と考えていたこと

がわかります。

 

これでも、大津波が来ることを予測できないと言えるのか…

 

この刑事裁判で、仮に元役員が無罪となるのであれば、地震予測や津波の予測について

 

完璧な予測方法など現時点でも確立されていませんから、原発事故が起こっても刑事上の責任は

 

誰も負わなくてもいいということになりかねません。

 

今後の刑事裁判には注目しています。

 

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「復興ストレス〜失われゆく被災の言葉〜」の紹介

 

昨日、福島市在住の科学ライターである伊藤浩志さんの

 

復興ストレス〜失われゆく被災の言葉〜

 

という本を拝読いたしました。

 

この本には「福島第一原発事故で被災した方の不安が何故消えないのか」

という命題を

\己学的合理性、脳神経科学、2奮悒螢好評価の限界

 

という複数の視点から見ています。

 

視点の根底には、「放射線被ばくをめぐる不確実性」があり、

これまで私が原発被災者を見て感じてきたことのすべてがこの本にありました。

 

「科学はそもそも中立ではない」

「科学者のリスク認知もバイアス(一定の方向を持った偏り)がかかっている」

 

という視点を書かれていることに関しては、

 

福島第一原発事故で健康被害なんて絶対に出ないよ!と言っている専門家の方

福島第一原発事故で健康被害は絶対に出る!と言っている専門家の方

 

両方に読んでいただきたいと思います。

 

そして、この本を読めば、国や電力会社が

「正しい放射線の知識を持てば、不安はなくなる」

「不安を覚えている人は非科学的な人間であり、不合理である」

とすることがいかに乱暴な議論なのかが分かります。

 

福島在住でこのような本を書かれている方がいることを知り、非常に感銘を受けました。

 

 

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映画「FAKE」を観覧して

昨日、横川シネマで広島での初日を迎えた

 

映画「FAKE」

 

を観覧してきました。

 

 

監督はオウム真理教側でのドキュメンタリー作品「A」の監督

でもある

 

森達也監督

 

2014年に世間で騒がれたいわゆる佐村河内守氏・新垣隆氏両名

によるゴーストライター騒動を佐村河内守氏側に立って撮影された

ドキュメンタリー映画です。

 

今年に入って映画評論家を対象に行われた試写で、かなり反響があった

ことが報じられていたため、私も前々から興味があり、昨日横川シネマで

森監督のトークショーもあわせて行われるということ聞き、早速観覧して

まいりました。

 

この映画は、決して佐村河内守氏を全面的に擁護するものではありませ

んが、新垣隆氏をある意味英雄視し、半面佐村河内氏を一方的に陥れる

マスコミ報道に一石を投じる内容です。

 

特に、映画全般を通じて観客が佐村河内氏に対してずっともち続ける

「ある疑問」に対して映画の終盤に森監督が仕掛ける「ある提案」に応じる

佐村河内氏の「ある行為・作業」を見ると、少なくとも新垣隆氏の事件

発覚後のマスコミに対する説明に大きな疑念が出ます。

※最後の12分のシーンは「話さないでください」ということらしいの

 でこういう表現でしか書けずすいません。

 

分かりやすい結論・文脈でしか報じられないマスコミ報道の本質は何か?

そして、ゴーストライター騒動に限らず、物事を白黒で簡単に二分化している

のはマスコミではなく、国民なのではないか。

 

そんなことを考えさせられる作品でした。

 

なお、映画の最後のシーンでの佐村河内氏に対する森監督の「ある一言」

は、一気に疑問が解決した観客を再度一気に疑念に引きずり戻します。

 

が、最後のトークショーで森監督に質問させていただく機会があり、その

疑念は考え過ぎだったようです。

 

とにかくすごい作品でした。主要な劇場では公開されないようですが、

横川シネマのお近くにお住まいの方は是非見てください。

 

凄い。

 

※映画評論家の町山智弘氏の解説です。

 

 

 

 

 

 

 

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不倫は「違法」ではない?ファンキー加藤さんの不倫報道について

昨日から大きな報道になっています。

ファンキー加藤の会見「ゲス川谷よりは100倍誠意」
「違法ではないが不適切」(デイリースポーツ)


私は特にファンキー加藤さんに思い入れがあるわけでもなく、ニュースの内容そのものに
興味を惹かれてはいません。

が、今年に入って芸能関係の不倫問題が取りざたされる際に、言われる

「不倫は違法ではないが、問題ある行動」

という論調の意見について。

夫婦関係の一方当事者が、第三者と性的関係になることは刑事上は違法ではありません
が(つまり、不倫をしても警察に捕まったり刑務所に行くことはありません)、

民事上は原則的に「違法」です。

違法だからこそ、不貞関係になった夫婦の一方当事者は、他方当事者に慰謝料を払わなければ
ならないのです。

細かいことかもしれませんが、ベッキーさんの報道の中でも、同様に「不倫は違法ではない」
とテレビのコメンテーターの方が話されていたので、少し気になってました。


今回の報道内容とは直接関係がありませんが、今回の報道の当事者となってしまったアンタッチャブルの
柴田さんが、いつか相方の山崎さんと再度漫才をされるのを個人的に待っています。
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舛添要一知事の政治資金流用疑惑の調査報告に思うこと

昨日のニュースですが、舛添要一東京都知事が、「第三者」として依頼した弁護士2名の
調査報告が昨日発表され、批判が噴出しているようです。

舛添氏疑惑調査、これで「第三者の厳しい目」?(j-castニュース)

ニュースの中には、調査の依頼を受けた弁護士2名を直接批判しているものもありますが、
個人的には2週間しか期間がなく、かつ「法的専門家」ではあっても民意の中で形成される
「妥当性(適切性)」を語ることが専門ではない弁護士が、「違法性」だけでなく「妥当性」も含めて
意見を述べていたことは、限界があり、弁護士に対する批判は酷であると思ってます。

ただ、この舛添さんの調査に関するニュースの中で常々気になるのは

第三者(弁護士)の調査報告

という表現そのものです。

弁護士は依頼を受けた場合、「依頼者の代理人」として事件を受けます。

例えば、「こじれた夫婦関係を修復したい」という依頼を夫から受けたとしても、
弁護士は「夫と妻を仲裁する第三者」として事件は受任しません。
この場合あくまで「夫の代理人」として事件を受任します。

そして受任した事件は「依頼者の最大の利益」になるように職務を遂行することになります。

つまり何を言いたいかというと、
今回の調査に入った弁護士は

舛添知事の依頼を受けた「代理人」であり「第三者」ではない

代理人である以上、特別な取り決めを当事者間でしない限り、

弁護士は舛添知事の不利益になる行為(調査報告)をすることが
原則できない

ということです。

今回の調査報告は、そもそも「舛添知事自身」の報告に過ぎないと
評価されても致し方ありません。


この調査報告に正当性(第三者による調査報告であること)を持たせようとするならば、
少なくとも舛添知事は自ら弁護士との間の契約内容(通常の委任契約なのか、依頼者である舛添知事の
不利益な事項も積極的に調査・報告をすることができることを知事が認めることを含む特約があるのか)を
明らかにすべきです。

※弁護士は依頼者との関係で守秘義務がありますので、契約内容を第三者に明らかにすることはできません。

ただ、今回の問題はそもそも政治資金規正法そのものの問題でもあります。舛添知事が不適切な政治資金の使用
であっても続投を表明している以上、これ以上の彼の責任追及には限界があると思います。
次回の選挙で、東京都民が投票という形で、その是非を突きつけるしかないと思います。





 
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