交通事故に強い広島の弁護士の徒然日記

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「不安」と「危険」の峻別〜無用な差別を生まないために

本日、福島県の現状について書いた以下の記事を読みました。

求められる「脱原発」の再定義

非常に素晴らしい記事なのでできれば全部読んで欲しいのですが、
内容を簡略的に説明すると
(‥膰での米の全袋検査で全ての平成26年産米(昨年12月出荷分まで)に
 基準値以上(1キログラム当たり放射性セシウム 100ベクレル)の
 ものが出なかった。
∧‥膰での先天性異常新生児が全国平均と同等の数値だった
J射性物質による影響が徐々に分かるようになってきたが、今だ福島県民は悪質なデマ
 に苦しめられている。
な射性物質による健康被害に「不安」を抱えていることは理解できるが、根拠のないデマは
 差別を助長する。
ッΩ業運動をしている人達が、「福島は危険である」ということを前提に差別的な
 言動をしながらその運動を繰り広げていることに違和感を感じる。
「福島は危険」と言わなくても 脱原発運動ってできるんじゃないの?
というもの。

震災後、福島のみならず放射性物質が拡散した地域にお住まいの方は多かれ少なかれ上記記事
に感じるところがあるのではないでしょうか?
著者は、あくまで放射性物質による「不安」が払拭できていないことは前提に記事を書いて
おられます。「安全」だと言っているわけではありません


放射性物質が拡散した地域にお住まいの方、住まわれていた方は、
「放射性物質が人体に与える健康上の影響」という点に「不安」を抱えておられます。
この「不安」は相当強烈なものです。「不安」という言葉だけでは表現しづらいものが
あり、東京電力や政府が信用されなくなってしまった状態では、その「不安」は人によっては
避難という行動を余儀なくされ、避難しなかった多くの人もストレスを感じながらの生活を
余儀なくされました。その強烈な「不安」自体が原発事故の何よりの被害ですし、
この強烈な「不安」は法的保護があってしかるべきです。

しかし、主観的に「不安」であるということと
客観的に「危険」であることは全く次元の違う話です。


「福島県も含め、その周辺地域が客観的に危険である」と主張するには、相当の根拠がなければ
ならず、そこに住んでいる人に対する「差別」に直結します。

「低線量の放射線であっても強い危険性がある」と提唱する一部科学者や医師の方もおり、
強い不安を覚える人がたくさんいることはもっともなことです。

ただし、主観レベルの「不安」と客観レベルの「危険」を峻別できない発言や行動は、
少なくとも一番の被害者である放射性物質が拡散した地域に住まわれる人には全く理解されません。
「不安」を口にするのはしょうがない。それは誰も責めようのないことです。

しかし、主観レベルの「不安」を客観レベルの「危険」と摩り替えた主張は、一般人のみならず
多くの科学者や医学者を説得できるに足る相応の根拠を示さなければなりません。
まず、「危険」を主張する方は、一般人を説得しようとするのではなく、まず、科学者や医学者を
説得して専門家の中で説得力を持つ主張・立証をしていただきたい。

逆に、上記記事には触れられていない視点ではありますが、
「安全」を主張する人(行政の人が多いと思います)も、「安全ありき」の
主張をせずに、「国民の健康の保護」という重い目的を忘れずに、県民健康調査だけでなく
民間団体の調査結果などもを慎重に検討して欲しい。
まだまだ、あらゆる調査が継続されなければならない現時点で「安全」を断言
することは、「危険」を断言する人と同じ危うさがあります。
「安全」を断言するのは、全国民の「不安」を払拭したときです。「不安」を払拭できない
「不明」の状態であるにもかかわらず「安全」と断言するのも疑問です。

放射性物質の人体への影響が「不明」であるということと、
「安全」と断言することも全く別次元の話です。


あくまで、この記事は、拡散した放射性物質が、どのような健康上の影響を及ぼすか「不明」である
という立場から書かせていただきました


震災後、福島を去った私にも突きつけられる非常に重い記事でした。

※追記
「福島県で甲状腺がんが見つかった子どもが多数いる」という報道がなされています。
これについては、個人的には福島第一原発事故との関連性を疑っています。
「甲状腺がんの直接的原因とされる放射性ヨウ素に汚染された野菜などを口にした人が
相当数いたのではないか?」と考えているからです。ただし、私は科学的な知見を持たない
素人ですし、何より放射性ヨウ素の半減期は極めて短期で、少なくとも放射性物質が拡散した
地域でも今現在はほとんど存在しないといわれています。
ですので「甲状腺がん」の報告をどのように理解しても、「『現在』の福島県及びその周辺地域の危
険性」を語る事情にはならないと考えています。
今後も今後健康被害を疑わせる事象が発生したのならば、結論ありきの態度ではなく
注意深くその原因に向き合わなければならないと思っております。
 
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