交通事故に強い広島の弁護士の徒然日記

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原発事故が起きたら本当に避難できるのか〜双葉病院の事案から考える〜

先週末から主に福島県の太平洋沿いの視察に行ってまいりました。

その中で、震災時に福島第一原発から約4.5kmの距離にあった双葉病院の院長兼医師の
鈴木市郎先生にお会いし、お話を伺うことができました。

双葉病院は、現在も避難区域にある福島県双葉郡大熊町に存在していました。

鈴木先生は、双葉病院に取り残された100人以上の重篤患者とともに自衛隊の救出を待ちます。

平成23年3月12日の午後に福島原発1号機が爆発してからは、自衛隊も救出には簡単には
来てくれません。

鈴木先生は、他の病院職員らとともに何度も駆けていた警察や自衛隊に患者の救出を求め病院に
とどまりますが、自衛隊は思うように救出活動をしてくれず、最終的には3月14日の夜に同行し
ていた警察の命令で病院から退避することになります。

自衛隊の救出が遅れたこともあり、双葉病院では50人もの患者さんが死亡するに至りました。

この話は、福島県が事実を誤認し「双葉病院の医師が患者を置き去りにした」
という趣旨の発表をしたため、全国的に事実誤認の報道がなされ双葉病院や鈴木先生の名誉が大
きく害されることになります。

参考:置き去りにされた 救助の遅れ 亡くなった高齢者50人(東京新聞)

双葉病院誤報事件は多くの書籍にもなっています。

参考:なぜ院長は「逃亡犯」にされたのかー見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間(講談社)

双葉病院の重篤患者さんが病院内に取り残され、長時間救出されなかった経緯はここに書ききることは
できないのですが、どの角度からみてもひとつ言えるのは

原発事故が起きた場合、

自力で歩行することが困難な人(特に高齢者)は、救出することが困難で
あること、救出が遅くなれば死亡に至る方も多く出るということです。


福島原発の周辺はもともと長閑な場所で人口密集地ではありません。そこでもひとつの病院から
50人もの犠牲者を出しました。
仮に、島根原発のように人口密集地で原発事故が起きた場合、どれだけの人が取り残され
死に至るのか。

ちなみに、福島原発事故後の国の定めた新規制基準では、

原発事故発生時の避難計画の策定は
×「電力会社の責任」
○「自治体の責任」
 となっています。


原発再稼働の是非はさておいて、原発事故が起きたときには、「相当数の人間が死ぬのだ」
いう事実にどの立場の人間も目をそらしてはいけないはずです。

 
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