交通事故に強い広島の弁護士の徒然日記

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東京電力の「県外避難者に対する賠償返還請求」が意味するもの

一昨日報じられたニュースです。

<福島原発事故>東電、県外進学に賠償返還請求

◇「避難終わった」
 東京電力福島第1原発事故で、実家が帰還困難区域になった女性(21)に支払われた賠償金1600万円のうち、福島県外の短大に進学して転居した以降の精神的賠償など約900万円について、東電が返還を求めていることが分かった。女性側は「帰還できる見通しが立たず、精神的苦痛は続いている」と反論。具体的な賠償基準が公表されていないことに加え、多額の返還を突然求められれば、被災者の生活設計に混乱をもたらす恐れがある。(毎日新聞)


東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所での重大事故に起因した避難者は、広島県内に
もたくさんおられます。私自身、避難者の方から依頼を受けて、東京電力に避難費用等の請求を
代理することをしていますが、ここ最近、東京電力側の対応は、仲介している原子力損害賠償紛争
解決センターから提示される和解案を拒絶する態度を見せたり、震災後直後であればとっていなか
った不誠実かつ強硬な態度をとるようになってきました。

上のニュースについて、そもそも震災前に県外の短大に進学していたとしても、学生さんに
とって、帰るべき場所は帰宅困難区域となった福島県内の実家であって、実家に帰ることができ
ないことでの精神的苦痛が存在することは明白です。

上記ニュースの請求を受けている女性の個別的な事情は分かりませんが、帰宅困難地域に住んで
おられた方の経済的負担は、職を失ったり、家族が分断されたりと、目に見えないものも含めて
相当なものがあります。賠償金をもらっても、それは、すでに追っている経済的負担に充てられ
て手元に残っていない方も大勢おられるはずです。
そういった事情があるにも関わらず、それまで問題ないと思って受け取っていた賠償金を、
東電から返還を求められば、

       将来まとめて東電からお金返せといわれるかもしれない
                  ↓
       怖いから生活切り詰めてでも、賠償金をもらうのはもうやめよう…


という心理が避難者に働くことは、当然、東京電力も分かっていると思います。

東京電力の避難者に対する対応は残念ながら、原発事故に対する国民的関心が薄れていっている
ことをいいことに、

会社の大きな負担となっている避難者に対する賠償を早期に打ち切る

という目的を大前提のものに対応しているという印象を受けるのは私だけでしょうか。


とても残念なニュースでした。
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