交通事故に強い広島の弁護士の徒然日記

模擬裁判員裁判への参加

9月27日に広島弁護士会の新会館落成記念イベントで、

模擬裁判員裁判

が行われました。





これは、架空のコンビニエンスストアで起きた強盗致傷事件を題材に、現役の裁判官、
検事、弁護士が参加し、裁判員役の方は、一般の方をお招きして、実際の裁判員裁判
を行うというイベントでした。

NHKなどのニュースでも放送されました。
NHKニュース:模擬裁判を市民が体験
NNNニュース:裁判員制度を知ろう!広島市内で模擬裁判

今回、私も弁護人役で参加させていただきました。

このイベントの特徴は、


現役裁判官と裁判員役の一般の方との評議が見れる

ということです。

被告人に対してどのような判決を下すかを話し合う「評議」は非公開です。
いったいどんな話し合いが行われるのか?この模擬裁判ではその評議がみれるんです。

弁護人は裁判員の皆さんに、こちらの言い分を分かってもらうためにあの手この手を尽く
していますが、本当に、自分たちの言い分は伝わっているかどうかが良く分かりました。

いままでの刑事裁判は、書面で証拠を出して、後日裁判官がその書面を見返す、という
プロセスを経て判決が出ていました。

しかし、裁判員裁判は、裁判の瞬間に裁判員の方にこちらの言い分を伝えないと、それで
終わりです。

裁判員裁判は、弁護士にとって
コミュニケーション能力が問われます。
法廷でのコミュニケーション能力は誰も教えてくれないので、皆手探りです。

そういった中で、この模擬裁判は、裁判員役の方だけでなく、弁護人役の私にとっても
非常に貴重な経験でした。

このイベントに参加していただいた方に感謝いたします。








 
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天空の蜂

先日先輩弁護士に連れられてみて来ました。



これです。

「天空の蜂」

舞台は1995年夏、自衛隊に搬入予定であった超大型ヘリコプターがのっとられ
福井にある架空の原発「新陽」の上空にホバリング。
犯人は政府に対して、「即時日本のすべての原発を停止しなければ、『新陽』に
爆弾を積んだヘリを墜落させる」という要求。
ヘリコプターには子どもが乗せられた状態・・・

そんな設定から始まります。

この映画は、素直に見ていて面白いエンターテイメント作品ですが、一方で原発
の問題点を原発を推進(運用)する側からの葛藤、原発に反対する側からの葛藤
の両面からバランスをとってうまく表現しています。
映像も内容も、とにかくすごい。

先日、弁護士会で「原発再稼働の是非」という表題でシンポジウムを行ったのですが、
講師として招いた元原発設計士である後藤政志さんが懇親会の席で、天空の蜂について
「良くできている映画」と話していました。犯人の動機等も見ると、後藤先生の言葉が
なるほどな、と思わされます。
原発のはらむ矛盾に葛藤する人たちを描きながら、

本当は誰が狂ってるのか?

というテーマは深く考えさせられます。

この映画は東野圭吾さんいよって1995年に発表された同名の小説が原作となっていますが
東日本大震災より15年以上前に、原発についてここまで抉った作品があったとは、脱帽
です。

原作も一読させていただきましたが、原発の必要性にも触れつつ、原発を作ることでの危険性
・苦悩も触れています。
原発推進であれ、反対であれ、どちらの立場に立った上でも言い訳をさせない良作です。


 
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2015年09月08日のつぶやき

16:10
司法試験の問題漏洩について http://t.co/SMZkUNANAa #jugem_blog
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司法試験の問題漏洩について

昨日になって、今年の司法試験の問題漏洩についての報道がなされています。

明大教授を刑事告発、特捜部が自宅を捜索(日本テレビNNNより)

司法試験は、考査委員に任命された裁判官・検事・弁護士の実務家及び学者がその問題作成及び採点
を行っています。そして、その学者は各法科大学院(ロースクール)や各大学の現役の教授となります。

報道によれば、今回の事件は明治大学法科大学院の憲法を担当する教授から同大学院の女子学生に対して
問題が漏洩されたようです。報道によると、同女子学生は憲法の論文答案が突出して高かったことから
であったことから事件が発覚したようです。

非常に残念なニュースですが、これは考査委員の任命にそもそも各法科大学院の指導担当をしている
教授を任命している以上ありうる事件です。

大学受験で例えれば、予備校の教師が、予備校に通う学生の進学希望大学の試験問題を作っていることに
等しいのです。これまでは考査委員となっている方それぞれのモラルに任されていたといっても過言
ではありませんが、2007年にも別の法科大学院で司法試験と同じテーマが扱われた勉強会が行われた
ということで大きな問題となっています。

目の前に「合格したい!」と血眼になって努力している学生を見た場合に、人間である以上、歪んだ親心
がでてもおかしくありません。

また、各法科大学院間での競争は激しく、各校とも合格者数・合格率をあげるために必死になっています。
司法試験を合格させたい教授側と司法試験を合格したい学生の利害は一致しており、合格させたい教授
が考査委員となっていることは制度としての危険性を常に払拭できない状態となっていることを示します。

仮に再度同様の問題が起きた場合には、「司法試験」という制度の信頼は失墜してしまいます。

法科大学院の指導担当の教授を考査委員に任命する現在の制度には明らかに限界がきています。

今日は、2015年度の司法試験の合格発表日です。何より、こんなニュースを合格発表直前に知り、
心がざわつかされる受験生がかわいそうでなりません。
 
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